なぜ人は自分と似た存在に強烈な心地よさを感じるのか。その答えは、私たちの脳内に刻まれた進化の記憶にある。神経科学の研究によれば、自分と似た意見や価値観を持つ人物と接する際、脳の報酬系と呼ばれる領域が活性化し、ドーパミンが放出されることが分かっている。つまり、他者の中に「自分」を見出す行為そのものが、脳にとって生理的な快楽なのだ。
反対に、価値観や背景が全く異なる「他者」と対峙するとき、脳の扁桃体は警戒アラートを発する。原始の時代、自分たちの群れと異なる行動をとる者は生存へのリスクを意味した。この遠い祖先から受け継いだ防衛本能が、現代においても「自分と同質な存在を囲い込み、異質な者を排除する」という無意識の行動パターンを生み出し続けている。私たちが他者を選ぶとき、そこには合理的なロジックではなく、脳の原始的な自己防衛回路が働いている。