プロの現場で活躍する理学療法士の手記やインタビュー、匿名掲示板・SNSに投稿される関係者の証言を丹念に検証すると、テレビカメラには映らない過酷な労働実態が浮かび上がってきます。
某独立リーグ球団でチーフトレーナーを務めた理学療法士の回想録には、次のような生々しい記録が残されています。
「朝6時に球場入りしてテーピングの準備を始め、ナイトゲームが終わって選手のアイシングやマッサージが完了するのは深夜23時を回る。遠征のバス移動では仮眠しか取れず、遠征費を浮かすために安ビジネスホテルに詰め込まれる日々だった。それでも『選手の夢を支えている』という高揚感だけで身体を動かしていたが、3年目のオフに球団の経営難を理由に契約更新を見送られ、手元に残ったのはボロボロの身体と貯金数十万円だけだった」
また、SNS上で医療系インフルエンサーとして発信するスポーツクリニック勤務の療法士たちからも、次のような意見が多数確認できます。
「学生時代はプロチームの帯同を夢見ていたが、結婚して子どもが生まれた瞬間、土日遠征で家を空け続ける働き方に限界を感じた。今はクリニックで地域の学生アスリートを診ながら、土日は家族と過ごしている。この選択に後悔はないが、スポーツ現場一本で家族を養い続けるのは相当な覚悟が必要だ」
こうした声が証明しているのは、スポーツ理学療法士という職業が「やりがい搾取」に陥りやすい構造的リスクです。「スポーツが好き」「プロ選手と関わりたい」という純粋な憧れをテコに、極端な長時間労働や低賃金を受け入れてしまう構図が一部の現場で常態化している点は、業界が解決すべき深刻な課題です。