鬼平も唸った江戸の味!池波正太郎グルメ巡礼と名店の裏メニュー

鬼平も唸った江戸の味!池波正太郎グルメ巡礼と名店の裏メニュー

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池波作品を語る上で欠かせないのが、代表作『鬼平犯科帳』の主人公・長谷川平蔵が作中で舌鼓を打つ料理の数々だ。軍鶏鍋屋「五鉄」の軍鶏なべ、一本うどん、根深汁――。文字を追うだけで喉が鳴るそれらの描写は、池波自身が自らの足と舌で確かめた江戸の食文化が色濃く反映されている。

池波が描いた時代小説の真骨頂は、武士も町人も、悪党ですら同じ人間として「美味いもの」を前に相好を崩す瞬間の生々しさにある。平蔵が密偵たちと囲む鍋の温もりは、過酷な取り締まりの現場に漂う冷気を中和し、張り詰めた魂を解きほぐす儀式でもあった。池波にとって料理とは、単なる栄養補給ではなく、人間の哀歓や情の深さを描き出すための最も雄弁な舞台装置だったのだ。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。