映画『幕が上がる』と主題歌「青春賦」が提示した最大の功績は、「集団創作による自己の確立」という思春期の最も尊い体験を、完璧な形でフィルムに定着させた点にあります。
社会学や心理学の領域では、青年期における「心理的自立(アイデンティティの確立)」には、家族という狭い枠組みを超えた他者との深い共同作業が不可欠であると説かれます。本作において描かれた演劇部の活動は、まさにその縮図でした。互いの才能に嫉妬し、限界に直面し、それでも一つの舞台を作り上げるために自己をさらけ出す。この過酷なプロセスをくぐり抜けた先にしか見えない景色を、映画本編と主題歌は見事に描き切っています。
【鑑賞の判断基準】本作および主題歌を深く味わえる人・慎重になるべき人の特徴
- 深く味わえる人:
- 学生時代に部活動や創作活動、学園祭などに情熱を注いだ経験がある人
- 「現代口語演劇」や日本映画の緻密な演出・演技指導の妙を味わいたい人
- 冨田恵一氏の洗練されたオーケストレーションや、叙情的な合唱バラードを愛好する音楽ファン
- 慎重になるべき人:
- テンポの速いギャグや派手なアクション、劇的なカタルシスのみを映画に求める人
- ももいろクローバーZに対して終始コミカルでハイテンションなパフォーマンスのみを期待している人