時給が30円アップしたことで、フルタイム労働者(月160時間勤務)の場合、月額ベースで約4,800円、年間で約57,600円の額面収入増加が実現しました。しかし、短時間労働者や扶養内で働くパート層の間では、手放しでは喜べない複雑な事態が表面化しました。
特に問題視されたのが、いわゆる「103万円の壁」や「130万円(企業規模により106万円)の壁」に対する抵触です。時給が900円に上昇した結果、従前と同じシフト時間で働き続けると扶養控除枠をオーバーしてしまうため、労働時間をあえて減らす「就業調整」を行うパートスタッフが続出しました。
これにより、現場では「手取りを維持するためにシフトを削らざるを得ない労働者」と「時給を上げたにもかかわらず人手不足が深刻化する事業主」という、皮肉なミスマッチが浮き彫りになったのです。