画面越しには「尊大で冷淡なエリート」と映る古市氏ですが、彼の素顔や実像についてはネット上のイメージと少なからず乖離が存在します。テレビ業界内やプライベートの知人たちから漏れ伝わってくる姿は、メディアで見せる攻撃的なキャラクターとは大きく異なります。
彼と私生活で深い親交を持つ著名人――例えば俳優の佐藤健氏や写真家の蜷川実花氏、タレントの中居正広氏らの証言によれば、古市氏のプライベートは極めて礼儀正しく、過剰なほど人見知りでシャイな性格だといいます。自著や過去のロングインタビューでも明かされている通り、彼は主食がチョコレートで肉や野菜を好まない極度の偏食家であり、他人の体臭や雑菌を極度に嫌う重度の潔癖症でもあります。人とのスキンシップや情緒的な距離感を極端に恐れるパーソナリティが、防衛機制として「合理的なバリア」を張り巡らせる結果につながっている側面があります。
また、彼の社会学者としてのキャリアに対する「学者気取りのタレントに過ぎない」という批判も、一面的な誤解を含んでいます。慶應義塾大学環境情報学部を経て、東京大学大学院総合文化研究科で博士課程を単位取得満期退学した彼の学術的出発点は、若者の労働環境や幸福度を計量的に分析した実証研究にあります。2011年に上梓した『絶望の国の幸福な若者たち』は、当時の若者論にパラダイムシフトをもたらした名著として、現在でも学術的な引用価値を失っていません。
すなわち、彼がテレビで見せる「生意気な態度」は、無知ゆえの暴走ではなく、「自身が社会の中でどう機能すべきかを冷静に計算した上でのメディア的パフォーマンス」という側面が極めて強いのです。