本作の主人公は、老舗リゾートホテルチェーン「鮫島ホテルズ」の若き社長・鮫島零治(34歳)。ホテルの経営手腕は天才的で、業界誌から取材を受けるほどのカリスマ実業家でありながら、その性格は極めて難解でした。完璧主義で極度の潔癖症、他人の些細なミスを絶対に許さず、従業員を容赦なく即日解雇することから社内では「暴君」と恐れられていたのです。お見合いを繰り返すものの、その頑固で偏屈な傲慢さが原因でことごとく破談になり、恋愛経験値は実質ゼロのまま生きてきました。
そんな零治の前に現れたのが、中途採用として入社してきた謎めいた新人社員・柴山美咲(波瑠)でした。パリの五つ星ホテルで研修を積んできた美咲は、誰に対しても媚びることなく、自分の意見を率直に口にするマイペースな性格。社内で唯一、社長の威圧に屈せず、物怖じしない彼女の無垢な瞳に、零治は生まれて初めての強烈な恋心を抱きます。
そこから幕を開けるのが、敏腕社長の威厳をかなぐり捨てた「初恋獲得大作戦」です。秘書の村沖舞子(小池栄子)や運転手の石神克則(杉本哲太)を巻き込み、ライバル関係にあるステイゴールドホテル社長・和田英雄(北村一輝)の恋愛指南を仰ぎながら、小学生のような不器用さでアプローチを重ねていきます。好きな女性に素直になれず、意地を張っては自爆し、周囲に当たり散らしながらもベッドの上で一人悶絶する零治の姿は、多くの視聴者の母性本能と共感を鷲掴みにしました。
物語を彩る舞台として欠かせないのが、異国情緒あふれるロケ地・横浜の美しい情景です。「鮫島ホテルズ」本社ビルの外観設定となったみなとみらいの高層ビル街をはじめ、零治と美咲がぎこちない距離感を縮めていった日本大通り、二人で訪れた横浜赤レンガ倉庫や観覧車が見える海沿いの夜景は、ドラマの洗練されたビジュアルトーンを決定づけました。港町ならではの上品な潮風と煌びやかな都会の夜景が、大人のラブコメディとしての品格を一段押し上げています。