そもそもなぜ、年末に餅を重ねて飾るのでしょうか。その起源は平安時代にまで遡り、宮中で行われていた「歯固め(はがため)の儀」に由来すると伝えられています。硬い餅や大根、猪肉などを食べて歯を丈夫にし、長寿を祈願した儀式が武家社会を経て庶民へと広まりました。
「鏡餅」という名称は、古来の三種の神器の一つである「八咫鏡(やたのかがみ)」に似せて丸い形に作られたことに由来します。昔の青銅鏡は丸く、神様が宿る神聖な依り代(よりしろ)とされていました。鏡餅の大小二段の重なりは、それぞれ「陰と陽」「月と日」「人の魂と神の魂」を表し、福徳が重なるようにとの願いが込められています。
つまり、鏡餅は単なる室内インテリアではなく、新年に各家庭を訪れる年神様の「御神体・居場所」そのものです。年神様は鏡餅を依り代として宿り、その霊力が餅に宿ることで、のちの鏡開きで家族全員がその力を分かち合うという精神的なサイクルが完成します。