立教女学院小学校の入試において、最大の特異点といえるのが「ペーパーテストを実施しない」という選考方針です。都内の多くの小学校受験が机に向かって○×をつけるペーパー考査で一次選別を行う中、同校は徹底して個別テスト、行動観察、運動テスト、制作・絵画、口頭試問を通じて子どもの資質を多面的に観察します。
この考査内容の背景には、「6歳児の発達段階において、机上の暗記やパターン学習の習熟度だけで人間性や将来の可能性を測ることはできない」という創立以来の確固たる教育哲学が存在します。具体的には以下のような場面で試験が展開されます。
- 行動観察:複数人のグループで行う自由遊びや共同作業。用意されたブロックや積み木、カードなどを用いて「みんなでルールを決めて遊ぶ」状況が設定される。ここで見られるのは、リーダーシップという名の独断ではなく、他者の意見を聞き入れる柔軟性や、トラブルが起きた際の自己調整能力です。
- 個別テスト・口頭試問:テスター(教員)と1対1で向き合い、お話の記憶を口頭で答えたり、手先の巧緻性を試す課題(ひも結び、ちぎり、折り紙など)に取り組む。受け答えの際、暗記した台詞を機械的に復唱するのではなく、「自分の言葉で素直に感情や考えを伝えられるか」が試されます。
- 指示行動・運動:リズムに合わせて動く、ケンパや平均台、ボール投げなどの基本的な身体動作。俊敏性そのものよりも、教員の指示を一度で正確に聞き取り、失敗しても途中で投げ出さずに笑顔で立て直せる姿勢が観察されます。
考査現場で見られる合否の分かれ目は明確です。大人の顔色を窺い、指示待ちになってしまう「訓練されたロボットのような子ども」は同校の環境では敬遠されます。泥だらけになって自然と触れ合える生命力と、友達が困っていたら自然に手を差し伸べられる温かな感受性を持つ子どもが、高い確率で合格を勝ち取っています。