「クマと出くわした瞬間、人間の本能が選ぶ行動の多くは死に直結する」。長年にわたり野生クマの生態調査と現場対応を行ってきた日本ツキノワグマ研究所の米田一彦氏はそう強い警鐘を鳴らす。
最も危険なNG行動は「背中を見せて走って逃げること」だ。クマは逃げるものを追う強い本能を持つ。人間が全力疾走しても、クマの速度には到底及ばない。パニックになって大声を上げたり、手を振り回して威嚇したりする行為も禁物だ。クマを過剰に刺激し、自衛のための攻撃行動を誘発してしまうからだ。また、至近距離での視線合わせも威嚇とみなされるリスクがある。突然の事態に思考がフリーズするのは無理もないが、焦動こそが最大の敵となる。