日本において「F1ブーム」といえば、1980年代後半から1990年代初頭のバブル期を思い出す方も多いはずです。当時はアイルトン・セナとアラン・プロストによる熾烈な「セナプロ対決」が社会現象となり、フジテレビの深夜中継は高視聴率を連発。マクラーレン・ホンダの快進撃に日本中が湧き上がりました。
しかし、当時の熱狂は「ホンダのエンジン技術への誇り」や「天才ドライバーへの心酔」といったテクノロジー・ナショナリズムに支えられた側面が強いものでした。
対して現在のムーブメントは、より多角的なエンターテインメント体験へと進化を遂げています。マシンのメカニズムを知らなくても、20名のドライバーが織りなす人間関係やチーム代表同士の政治的駆け引き、チームラジオで飛び交う緊迫した肉声そのものがドラマとして消費されている点が、バブル期の熱狂と決定的に異なります。