家づくりや土地探しの過程で頻繁に比較材料とされるのが「坪単価」です。建物の本体価格を坪数で割った数値であり、ハウスメーカーごとの価格帯を測る代表的な物差しとして使われています。
【坪単価の計算方法(基本式)】
建物の本体価格 ÷ 坪数(延床面積) = 坪単価
住宅取得の相談窓口や知恵袋、SNSのコミュニティでは、「当初聞いていた坪単価60万円で予算を組んでいたのに、最終見積もりを見たら坪80万円を超えていた」という苦汁をなめる声が後を絶ちません。なぜこのような乖離が発生するのでしょうか。
原因は、割る対象となる「面積の定義」にあります。建築基準法で厳格に定められている延床面積(のべゆかめんせき)には、ベランダ・バルコニー、吹き抜け、玄関ポーチ、地下室、小屋裏収納などは算入されません。しかし、ハウスメーカーの営業資料や広告パンフレットでは、それらを含めた独自の「施工床面積(せこうゆかめんせき)」で坪単価を計算している事例が横行しています。
具体的なシミュレーションで比較してみましょう。
- 建物本体価格:2,400万円
- 延床面積:30坪(約99.17㎡)
- 施工床面積(バルコニー・玄関ポーチ含む):36坪(約119.00㎡)
延床面積で割った本来の坪単価は「2,400万円 ÷ 30坪 = 坪80万円」です。ところが、分母に施工床面積を用いると「2,400万円 ÷ 36坪 = 約66.7万円」となり、見かけ上の坪単価が13万円以上も安く演出されてしまいます。
さらに、坪単価に含まれる工事範囲の不透明さもトラブルの火種です。屋外給排水工事費、地盤改良費用、外構工事費、各種申請手数料などの「付帯工事費・諸費用」は、一般的に本体価格から除外されています。坪単価の安さだけでハウスメーカーを決定するのは極めて危険であり、「その坪単価は延床面積基準か、施工床面積基準か」「付帯工事費はどこまで含まれているのか」を必ず同一条件に揃えて比較検討しなければなりません。