彼らの真骨頂は、作品ごとにまったく異なる顔を見せる振れ幅の広さにある。石井岳龍監督による文学的怪作『蜜のあわれ』では、艶やかで幻惑的な金魚の変身少女を演じる二階堂と、独特の退廃美を纏った新井が画面を支配した。官能と耽美が交錯する世界で、二人は完璧な対位法を奏でてみせた。
一方で、熱狂的な音楽映画『日々ロック』で見せたギャップも忘れがたい。ポップで型破りなコメディ要素が弾けるなか、二人の演じるキャラクターは強烈な個性を放ち、作風に奥行きを与えた。狂気、愛着、切なさ、そして笑い。ジャンルを軽々と横断しながら、彼らは作品ごとにまったく違う化学反応を証明してみせたのだ。