カツオ一本釣りの仕組みとは?針にかえしが無い理由と驚きの現場真相

カツオ一本釣りの仕組みとは?針にかえしが無い理由と驚きの現場真相

カツオ一本釣りの仕組みとは?針にかえしが無い理由と驚きの現場真相とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。

一本釣りの船には、通常の漁船には見られない特異な艤装(ぎそう)が施されています。その象徴が、船首から両舷(サイド)を取り囲むように張り巡らされた「散水パイプ」です。

船首のソナーや双眼鏡視認で鳥山・ナブラ(小魚の群れ)を発見し、カツオの群れに船を寄せると、ポンプから海水が一斉に汲み上げられ、ノズルから海面へ激しくスプレー状に散水されます。この散水には、綿密に計算された3つの決定的な効果があります。

一つ目は、「小魚が逃げ惑う水しぶきの偽装」です。海面を激しく叩く無数の水滴は、カタクチイワシなどの大群が海面でパニックを起こして跳ね回っている状況を人工的に作り出し、海中のカツオの捕食本能を極限まで刺激します。

二つ目は、「船影の隠蔽とカツオの警戒心解除」です。激しい気泡と波紋によって海面が白く濁るため、水面下のカツオからは巨大な船体や人間の姿がぼやけて見えなくなります。警戒心の強い回遊魚であるカツオが、船の真下まで何の疑いもなく突っ込んでくるのはこの目眩まし効果によるものです。

三つ目が、「活餌(生きイワシ)の放流との相乗効果」です。船内の生簀(活魚タンク)にキープされていた生きたカタクチイワシが「餌撒き役」によって海面へ放たれると、散水の白泡とイワシの銀鱗が混ざり合い、カツオは完全なフィーディングフレンジー(狂乱索餌状態)に突入します。ここで本物のイワシから疑似餌(バケ針)へとすり替えても、カツオは猛烈な勢いで食らいついてきます。

この戦いを支える釣竿にも、過酷な現場仕様のこだわりが凝縮されています。長さはおおむね4.5メートルから5メートル前後。かつては弾力性に優れた天然の布袋竹(ホテイチク)が主流でしたが、現在では強烈な引きに耐えつつ軽量化を図るため、グラスファイバーやカーボンを絶妙な比率で配合した専用ロッドが広く普及しています。硬すぎれば魚の口が切れてバレてしまい、柔らかすぎれば数キロの魚体を後方へ跳ね上げるパワーが足りません。魚の突進を受け止めつつ、反発力で瞬時に宙へ浮かす絶妙なテーパー(しなり)が設計されています。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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