組織のルーツを辿ると、初代会長である稲川聖城の存在に行き着く。戦後の混乱期、静岡県熱海市を拠点に「稲川組」を旗揚げした聖城は、圧倒的なカリスマ性と独自の組織哲学で関東一円に勢力を拡大させた。政財界や政界の裏舞台とも接点が取り沙汰されたその時代、組織は単なる街の博徒集団から、日本屈指の広域組織へと変貌を遂げていく。
拠点が熱海から神奈川県内、そして現在の横浜へと移転・集約されていく過程は、組織の近代化と警察の捜査網との知恵比べの歴史でもあった。古典的な賭場から企業舎弟、そして現代的な資本活動への移行に伴い、組織の司令塔としての拠点がどのような役割を果たしてきたのか。その足跡を紐解くことは、戦後日本の闇の経済史を追体験することと同義である。