対人距離を研究する人間行動の専門家たちは、腕を組むという動作が単なる「歩きやすさの確保」ではないと指摘する。公益社団法人日本心理学会の学術大会等でも議論される対人心理学の知見によれば、人間は警戒している相手に対して一定のパーソナルスペースを保とうとするが、腕を密着させる行為はその防衛本能を完全に解除した証拠に他ならない。
心理学者でありメディアでも精力的に発信を続ける越智啓太氏の研究をはじめ、行動心理学の視点から見ても、身体の一部分を密着させて歩く行為は「相手への強い依存と信頼の証明」とされる。言葉で「好きだ」と伝える以上に、身体的な接触は脳内のオキシトシン分泌を促し、相互の情愛を深める役割を果たしている。
また、恋愛心理学に基づけば、腕を組みたがる心理の裏には「自分のパートナーであることを周囲にアピールしたい」という誇示欲求や、相手を他者に渡したくないという所有のサインも潜んでいる。相手の本音を探りたい場合、腕を組んだ際の相手の体温の感じ方や引き寄せ方の強さに着目すると、言葉にされない愛情の深度を測る指標となる。