多くの消費者が抱く「なぜ通年でレギュラー販売してくれないのか」という疑問の裏には、大手コンビニチェーンと食品メーカーのシビアな商品戦略が存在します。トルコ風アイスが一般的なバニラアイスのように365日棚に並ばない理由は、主に3つの要因に集約されます。
第1に、「体験型アイス」という特性が持つ消費サイクルの短さです。練って伸ばすギミックは初動で絶大なインパクトを生む反面、日常的に毎日食べる常備アイス(デイリーユース)としての定着率は、シンプルなカップアイスやバーアイスに比べて低くなる傾向があります。メーカー側としては、通年生産ラインを維持するよりも、限定期間に集中生産して完売させる方が在庫リスクを最小化できるという計算が働きます。
第2に、ファミリーマートのアイス売り場における「棚取り合戦」の激しさです。コンビニのアイスケースは限られた冷凍スペースしかなく、毎週のように各社から数十種類の新作が投入されます。一定の回転率(1日に売れる個数)を維持できない商品は、わずか2〜3週間で容赦なく新商品へと差し替えられます。トルコ風アイスは「爆発的に売れて一気に去る」プロモーション特化型の商品として設計されているのです。
第3に、サプライチェーンと原料調達の兼ね合いです。本場トルコの伝統的なアイス「ドンドゥルマ」は自生ランの球根粉末である「サーレップ」を用いますが、日本のトルコ風アイスは増粘多糖類などの独自の配合技術によってあの驚異的な粘度を再現しています。この特殊な物性を安定して大量生産するには製造ラインの特別な調整が必要とされ、既存の人気商品の製造スケジュールとの兼ね合いからも、常時製造を続けるハードルが存在します。