アレンジレシピが成立する大前提には、日本の水産加工業が誇る技術革新がある。業界をリードするマルハニチロや日本水産(ニッスイ)は、脂の乗り切った旬の鯖を急速凍結し、鮮度を保ったまま缶の中で蒸し上げる「生詰め」技術を極限まで磨き上げてきた。魚の骨までホロホロに柔らかくしながら、身のパサつきを一切感じさせない仕上がりは、職人技の工業化とも呼べる偉業だ。
各メーカーが競い合う味噌だれのブレンドも見事というほかない。信州味噌や八丁味噌、隠し味の丸大豆醤油など、地域性や消費者の嗜好の変化を反映した繊細な配合が施されている。メーカーの技術者たちが何年もの歳月をかけて完成させた完成度の高いベースがあるからこそ、家庭での自由な味の掛け算が成立するのだ。