唐田えりかのキャリアにおける最大の転換点となったのが、1980年代の女子プロレスブームを牽引した「クラッシュ・ギャルズ」の長与千種役を演じたNetflixシリーズ『極悪女王』(2024年世界配信)です。企画・プロデュースを務めた鈴木おさむ、総監督の白石和彌のもと、主演のゆりやんレトリィバァ(ダンプ松本役)、剛力彩芽(ライオネス飛鳥役)とともに挑んだ本作で、彼女は見違えるような変貌を遂げました。
10kg超の体重増量と本格プロレス訓練に見る「表現者の執念」
当時の制作発表やドキュメンタリーインタビューによると、唐田えりかは役作りのために約10kg以上の体重増量を敢行しました。専属トレーナーと栄養管理士の指導のもと、徹底した筋力トレーニングとプロテイン・食事の摂取を繰り返し、往年の女子プロレスラー特有の厚みと力強さを兼ね備えた肉体をゼロから構築したのです。
さらに、プロレス指導を担当した長与千種本人から直接受けたトレーニングは過酷を極めました。受け身の習得からロープワーク、フライング・ニールキックをはじめとする大技の数々を、スタントマンをほぼ使わずに自らの身体で再現。撮影現場では打撲やアザが絶えない極限状態に追い込まれながらも、一切の妥協を許さずにリングへ上がり続けた姿勢は、共演者やスタッフから「狂気すら感じる覚悟」と評されました。
観客と批評家の心を動かした「生の感情」の爆発
『極悪女王』が配信されると、国内外の視聴者および映画評論家から絶賛の声が相次ぎました。SNSやレビューサイトでは、かつての騒動に対するネガティブな言説を圧倒する形で、「唐田えりかの演技に鳥肌が立った」「長与千種の魂が乗り移っていた」といったコメントが溢れ返りました。
作中で見せた、リング上で髪を掴まれ血を流しながらも立ち上がる不屈の形相、そして親友と敵対せざるを得ない悲哀と歓喜が入り混じった涙の演技は、彼女自身のこれまでの挫折や葛藤が生々しく投影されたものとして、見る者の感情を強く揺さぶったのです。