この店の真骨頂は、メキシコの古代技法を守る一方で、具材には日本の豊かなテロワール(風土)を惜しみなく取り入れている点にある。春には山菜の苦みを生かしたサルサ、夏にはとれたての新鮮なアジやサワラのフリット、秋にはキノコのソテーや和牛の希少部位が生地の上に踊る。
メキシコ産の乾燥チリやエパゾーテといった伝統ハーブの刺激と、日本の四季がもたらす極上の旬素材。双方が引き立て合い、一枚のトルティーヤの上で完結する小宇宙は、国内外の美食批評家たちを唸らせ続けている。単なる「メキシコ料理の再現」ではなく、「東京でしか味わえない唯一無二のタコス」へと進化を遂げた瞬間だ。