イワシの下処理で初心者が迷いやすいのが、「内臓(ワタ)を取るべきか、残したまま焼くべきか」という問題です。結論から言えば、魚の鮮度と食べる人の嗜好によって明確に選択が分かれます。
ウロコは包丁の背や指先を使って尾から頭に向かって優しく撫でるように取り除き、流水で洗ったあとに水気を完全に拭き取ることが下ごしらえの共通基本です。その上で、以下の基準に沿って内臓の処理を決定してください。
【ケース1】内臓をそのまま残して焼く場合
丸ごと焼く最大の魅力は、内臓特有のほろ苦さと濃厚な脂のコクを味わえる点にあります。ただし、これが許されるのは「目が澄んでいて、お腹に強い弾力があり、エラが鮮やかな紅色をしている極上の鮮度」の個体に限られます。内臓を残して焼く際は、腹が破裂するのを防ぐため、胴体の両面に斜めに浅く飾り包丁を1〜2本入れておくのがプロの技です。
【ケース2】内臓をきれいに取り除いて焼く場合
スーパーの特売品や購入から時間が経過している場合、あるいは小さな子どもや苦味が苦手な家族がいる場合は、迷わず内臓を取り除いてください。エラ蓋を開けてエラをつまみ出し、腹を少し切って内臓を掻き出します。特に背骨沿いにある赤黒い血合い(腎臓)は生臭さの温床となるため、流水と指先を使って徹底的に洗い流し、キッチンペーパーで腹の内側まで水分を拭き取ることが仕上がりを大きく左右します。