深夜に急変した子どもの看病において、親が最も迷うのが「このプツプツと熱はどちらの病気なのか」という点です。臨床現場におけるヘルパンギーナと手足口病の見分け方は、主に「水疱性発疹が出現する解剖学的部位」と「体温上昇の推移」の2軸で整理されます。
ヘルパンギーナの病名にある「アンギーナ」はドイツ語で「狭窄・喉の炎症」を意味します。その名の通り、病変は口蓋弓(のどちんこの周辺)や軟口蓋(喉の奥の柔らかい粘膜)に限定され、手のひらや足裏、臀部などに皮膚症状が出ることは原則としてありません。小さな水疱が破れて口内炎(アフタ)化すると、唾液を飲み込むことすら困難なほどの激痛を走らせます。加えて、高熱の有無と持続日数においても、初期に38.5度〜40度前後の突発的な高熱が出現し、2〜3日間持続するのが典型的なパターンです。
対する手足口病は、病名が示す通り発疹が出る場所の違いが極めて明瞭です。口内では喉の奥だけでなく、舌、歯ぐき、頬の内側、口唇周辺など広範囲に米粒大の水疱性発疹が現れます。さらに手のひら、足の甲や足裏、膝頭、お尻に独特の硬い紅斑や水疱が多発します。体温に関しては、半数以上の患者が平熱〜37度台の微熱にとどまり、発熱しても38度台前半が1〜2日で速やかに解熱する傾向があります。