政治主導の改革を掲げる石破茂首相は、現行制度が持つ働き控え誘発のデメリットを重く受け止め、与野党の税制協議において大胆な見直しを指示した。政権側としては、慢性的な人手不足に悩む外食・物流・介護などの現場へ労働力を呼び戻す特効薬にしたい考えだ。しかし、その背後には省庁間の熾烈な駆け引きが存在する。
税収の安定確保を最優先とする財務省は、安易な控除拡大による数兆円規模の国税収入減少に強い警戒感を示してきた。一方で厚生労働省は、将来の年金給付水準を維持するため被用者保険の適用拡大を推進したい考えであり、社会保険の壁をどう設計し直すかで両省の主張は錯綜する。政治の決断が先行する中で、歳入と社会保障費のバランスをどう取るか、官邸主導の難易度の高い調整が続いている。