嗜好品とはどこまで?お菓子やコーヒーが「心の栄養」と呼ばれる理由

嗜好品とはどこまで?お菓子やコーヒーが「心の栄養」と呼ばれる理由

嗜好品とはどこまで?お菓子やコーヒーが「心の栄養」と呼ばれる理由について知っておくべき 事実を厳選して解説いたします。

私たちが普段口にする食事と、いわゆる嗜好品にはどのような決定的な違いがあるのでしょうか。学術的・法制的な観点から整理すると、嗜好品の定義は「生命活動を直接維持するための栄養補給を主目的とせず、味覚、嗅覚、視覚などを通じた快感や、精神的な安らぎを得るために摂取するもの」と位置づけられています。

生物学的な意味での一般食品は、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)や微量栄養素を身体に取り込み、飢えをしのぎ、細胞の修復やエネルギー産生を担うことが最大の目的です。対して嗜好品は、極論を言えば「摂取しなくても飢え死にはしない」物質群です。しかし、人間は古今東西、栄養的に満ち足りていても嗜好品を強く求め続けてきました。

ここで多くの人が疑問を抱くのが、「お菓子は嗜好品に入るか」という点です。結論から言えば、菓子類は典型的な嗜好品に分類されます。総務省統計局が毎月公表する家計調査の収支項目分類を見ても、主食(米・パン・麺類)や副食(肉・魚・野菜)と明確に区別され、「菓子類」や「嗜好飲料」として独立したカテゴリーに計上されています。ショートケーキやチョコレート、スナック菓子は、空腹を満たすカロリー源になり得るものの、消費者の本質的な購買動機は「甘みや食感を楽しむこと」「気分転換」にあります。身体を動かすためのガソリンが一般の食品であるならば、嗜好品は心と脳の軋みをなめらかにする潤滑油の役割を果たしているのです。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。