美味しさの裏付けとなる栄養学的価値も、近年の再評価を強烈に後押ししている。主役となる自然薯は、古くから「山薬」として漢方でも珍重されてきた滋養強壮の塊だ。豊富な消化酵素アミラーゼを含み、生のままでも消化吸収が極めてスムーズに行われる。さらに特有の粘り成分が胃粘膜を保護し、疲れた現代人の身体を内側からいたわる。
そして見逃せないのが麦飯の存在だ。白米に大麦をブレンドすることで、現代人に不足しがちな水溶性および不溶性の食物繊維を効率よく補給できる。とりわけ大麦に含まれる「大麦β-グルカン」は、食後血糖値の急上昇を抑え、腸内環境を整えるスーパーフードとして熱い視線を集める。農林水産省や全国農業協同組合連合会(JA全農)も大麦や国産山芋の機能性に着目し、その消費拡大を推進している。美味しいものを食べて健康になる——麦とろ御膳は、まさに現代のウェルビーイングを体現する完全食なのだ。