2019年9月、NHKから発表された「大河ドラマ第60作の主演に吉沢亮を起用」という一報は、エンタメ業界に大きな激震を走らせました。当時25歳という若さであり、大河ドラマ初出演にして初主演、さらに平成生まれの俳優として初の抜擢だったためです。
なぜNHK制作陣は、歴史の重厚さが求められる渋沢栄一役に吉沢亮を指名したのか。その背景には、連続テレビ小説『なつぞら』(2019年度前期)で彼が演じた山田天陽役の存在がありました。チーフプロデューサーの菓子浩氏は当時の公式取材において、「綺麗な顔立ちの内側に秘めた骨太さ、泥臭く地に足のついたエネルギーに圧倒的な可能性を感じた」と明かしています。
大河ドラマの主役には、1年間に及ぶ過酷な撮影スケジュールを牽引する強靭な体力と精神力、そして視聴者を毎週惹きつける強い眼力が不可欠です。単なる端正なルックスにとどまらず、農民から幕臣、そして実業家へと激動の時代を泥にまみれながら駆け抜けた栄一のバイタリティを体現できる若手俳優として、制作陣の満場一致で白羽の矢が立ちました。