GoogleやSNSの検索窓に学校名を入力すると現れる「やばい」という文字列。このサジェストが生まれる背景を丹念に追跡すると、単一の不祥事や学校崩壊といった事実ではなく、主に3つの構造的要因が浮き彫りになります。
第1の要因は、エンターテインメント業界特有の下積みと過酷な労働環境に対する世間の警戒感です。テレビ制作、舞台現場、イベントオペレーションなどの現場は、締切や放送時間に追われるハードな職場環境が今なお残ります。卒業生が業界へ飛び込んだ後のリアルな苦労話がネット上に投稿された結果、「放芸に行くと過酷な世界へ放り込まれてやばい」という短絡的な文脈へと変換され、独り歩きしている側面が否めません。
第2の要因は、パフォーマー系(声優・俳優コース)におけるデビュー競争の厳しさです。毎年多数の若者が声優や俳優を目指して入学しますが、卒業時に大手事務所へ所属し、その後も芸能活動一本で生計を立てられる割合は業界全体を見渡しても一握り。夢破れて一般就職へシフトした元学生による「通っても声優になれなかった、学費の無駄でやばい」という悔恨混じりの書き込みが、ネガティブな検索ボリュームを押し上げています。
そして第3の要因は、皮肉にもポジティブな驚きとしての「やばい」です。学校見学やオープンキャンパスを訪れた高校生が、プロのテレビ局やコンサート会場と寸分違わぬハイエンドなスタジオ、音響・照明コンソール、最新の4K/8K撮影機材に圧倒され、「機材のレベルが本格的すぎてやばい」とSNSで発信するケースが多発しています。ネガティブな風評と賞賛のスラングが合流した結果が、現在の検索傾向を作っているのです。