器具で強制的に動きを封じる前に、試すべき根本的なステップが存在します。日本国内の動物行動診療科の獣医師たちが一貫して提唱しているのは、愛猫が自発的にケアを受け入れられるように導く「低ストレスハンドリング(Low Stress Handling)」のアプローチです。
獣医師推奨猫の爪切り方法の第一歩は、「1回ですべての爪を切ろうとしない」というルールの徹底です。前足と後ろ足合わせて18本の爪を一度に処理しようとするからこそ、猫の忍耐力の限界(一般に1〜2分程度)を超えてしまいます。「今日は右前足の2本だけ」「おとなしく切らせてくれたら即座に一番好物のおやつを与える」というスモールステップを積み重ねることで、爪切りとポジティブな報酬を結びつける条件づけが成立します。
また、猫の爪切りで暴れる対策として動物病院で広く実践されているのが、大きめのバスタオルを活用した「キャットブリトー法」です。猫の首から下をミノムシのようにタオルで包み込み、四肢の自由を優しく適度に制限した上で、切りたい足だけを1本ずつ出して処置します。視界を真っ暗に閉ざすのではなく、薄暗い布越しに適度な圧迫感を与えることで、猫に強い圧迫ストレスを与えずに安全性を確保することが可能です。