原作コミックス18巻から22巻にかけて描かれた「緑の魔女編」は、ドイツの奥深くに広がる「人狼の森」を舞台に幕を開けます。村人たちから「緑の魔女の家系」の当主として崇められていたジークリンデ・サリヴァンは、森に入り込む者を人狼の呪いで葬り、村の結界を守る絶対的な主として君臨していました。
しかし、女王の番犬として現地へ潜入したシエルとセバスチャンが暴いたのは、魔法や呪いといったオカルトとは無縁の冷酷極まりない国家規模の軍事実験でした。村の正体はドイツ軍の主導によって作られた巨大な研究施設であり、森の瘴気と恐れられていたものは、サリヴァン自身が無自覚に調合させられていた致死性毒ガス兵器「スーリン」だったのです。
サリヴァンは「外の世界を魔女の呪いから救うための究極魔法」と信じ込まされ、純粋な善意から人類史上最悪の毒ガスを作り続けていました。幼少期からの刷り込みによって世界観そのものを歪められていた彼女の境遇は、作中でも屈指の残酷な悲劇として読者の胸を締め付けました。