がん治療の現場取材において、多くの患者やご家族が最初に抱く不安は「家計が破綻してしまうのではないか」という金銭的恐怖です。しかし、日本の公的医療保険には高額療養費制度が存在します。1ヶ月(暦月の1日〜末日)にかかった医療費の自己負担額が年齢や所得に応じた上限額を超えた場合、その超えた金額が支給される仕組みです。
例えば、70歳未満で標準報酬月額28万〜50万円(年収約370万〜770万円/区分ウ)の現役世代の場合、計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となります。オプジーボを月に2回投与して総医療費が約65万円になった場合でも、窓口負担限度額は約8万4,000円前後にとどまります。
さらに心強いのが「多数回該当」のルールです。過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費の上限に達した場合、4回目以降の上限額は一律で月額44,400円まで引き下げられます。抗がん剤治療は半年から1年以上にわたるケースが多いため、4ヶ月目以降は月々約4万5,000円前後の支出で治療を継続できる計算です。事前に加入中の健康保険組合から「限度額適用認定証」の交付を受けて病院窓口に提示すれば、最初から上限額までの支払いのみで済みます。