連帯保証契約を取り巻く環境は、2020年4月施行の改正民法によって一定のメスが入った。しかし、現場の実情を子細に観察すると、依然として深刻な落とし穴が放置されている。
1. 賃貸契約における「極度額」表記の現実
改正民法第465条の2により、個人の連帯保証人が支払うべき上限額である「極度額(きょくどがく)」を書面(または電磁的記録)に定めなければ、個人根保証契約そのものが法的に無効とされるようになった。賃貸アパートの契約において「無限に家賃や修繕費を肩代わりさせられる」事態を防ぐための措置である。 国土交通省のモデル契約条項等では「賃料の12ヶ月〜24ヶ月分程度」がひとつの目安として示されているが、実務上の契約書を見ると「極度額:300万円」「極度額:500万円」といった高額な設定が平然と通用している。家賃8万円の部屋であっても、滞納家賃だけでなく、室内での孤独死や火災に伴う原状回復費用、退去遅延損害金などが上乗せされれば、連帯保証人は上限枠いっぱいまで請求される危険を孕んでいる。
2. 住宅ローンにおける「連帯債務」「連帯保証」の混同
夫婦や親子でマイホームを購入する際、金融機関から「収入合算」を提案されるケースが多い。このとき選ばれるスキームには決定的な違いがある。
- 連帯債務型(フラット35など):夫婦双方が主債務者となる。持分に応じて住宅ローン控除をそれぞれが満額利用でき、団体信用生命保険(団信)も「デュエット(連生)」等でカバーできる場合がある。
- 連帯保証型(民間銀行に多い):夫が主債務者、妻が連帯保証人となる形態。妻は返済義務を100%負うにもかかわらず、住宅ローン控除を受けることができず、原則として団信にも加入できない。夫に万一のことがあれば団信で完済されるが、連帯保証人である妻が病気や失業で倒れても債務は一切免除されない。
権利は制限されながら義務だけを主債務者並みに課される点で、住宅ローンの連帯保証は極めて非対称な不利益を強いられる契約設計となっている。