聖和学園サッカー部を象徴するのが、ピッチの至る所で繰り広げられる変幻自在のドリブルと圧倒的なボールキープ力です。現代の高校サッカーでは、強度の高いハイプレスや素早い攻守の切り替え(ポジショナルプレーとトランジション)が戦術トレンドの中心となっています。その潮流のなかで、同校はあえてパスという「最も確実な選択肢」を後回しにし、相手選手と1対1で対峙してドリブル突破を試みる場面が目立ちます。
この徹底した戦術背景には、チームを長年率いる加見成司監督の指導方針が深く根付いています。加見監督が掲げるのは、「目の前の試合に勝つためだけに、選手を戦術の駒としてはめ込むサッカーはしない」という明確な信念です。高校年代の3年間でボールを自在に扱う極限の技術を身体に染み込ませなければ、その先の大舞台で通用する本物の武器は身につかないという思想に基づいています。
日々の練習環境においても、一般的な高校に見られるような長距離の走り込みやフィジカル重視のトレーニングではなく、テニスボールを用いたリフティングや、狭いエリアでの細かなボールタッチ、重心移動を極める対人練習に膨大な時間が割かれています。ボールを奪われない絶対的な自信を植え付けることで、ピッチ上で選手自身がアイディアを具現化する「創造性の解放」を目指しているのです。