そもそも本作の原点は、19世紀後半にスイスの作家ヨハンナ・シュピリが執筆した古典的児童文学である。産業革命の波が押し寄せる当時のヨーロッパにおいて、豊かなアルプスの自然と純粋な少女の姿を描いた原作は、世界的なベストセラーとなった。
原作小説においても、ヤギは単なる農家の家畜ではない。自然の恵みと人間の自由な精神を象徴する重要なアイコンだ。
シュピリが紡いだ文脈を、日本の最高峰のアニメーターたちが視覚的イメージとして鮮やかに具現化した。言葉の壁や文化の違いを越えて、世界中の人々がハイジとヤギたちの触れ合いに共感した理由は、普遍的な自然への憧憬が根底に流れているからにほかならない。