植物分類学の父と呼ばれるカール・フォン・リンネ(Carl Linnaeus)の時代から、植物の探求と交配は人類の情熱をかき立ててきた。学名をトルコギキョウ(Eustoma russellianum)と呼ぶこの花は、名前に「キキョウ」と付きながらもキキョウ科ではなく、リンドウ科(Gentianaceae)に属する北米原産の植物である。
原種は一重咲きで紫がかった質素な野草に過ぎなかった。それを今日のような八重咲きやフリンジ咲き、そして優美なピンクのグラデーションへと進化させた立役者こそ、日本の種苗メーカーや生産者たちである。とりわけサカタのタネ(Sakata Seed Corporation)をはじめとする国内ブリーダーの技術は世界最高峰と称され、現在世界中に流通する品種の大半が日本発の遺伝的ルーツを持っている。
農林水産省(MAFF)の農業生産統計を見ても、日本の花卉園芸農業(Floriculture Industry)においてトルコギキョウはトップクラスの産出額を誇る基幹品目だ。徹底した温度・日照管理と繊細な水管理によって育てられた国産のピンク品種は、茎の硬さ、発色の冴え、花弁の重なりにおいて海外市場からも別格の評価を受けている。