秋の山林で自生する天然なめこ(原木なめこ)は、豊かな風味と強いぬめりで愛好家に高い人気を誇ります。しかし、厚生労働省の統計でも毎年キノコによる重篤な食中毒事故が報告されており、その代表的な誤認対象が「コレラタケ」と「ニガクリタケ」です。
特に危険なのが猛毒のアマトキシン類を含むコレラタケです。名前の通り、誤食すると激しい下痢や嘔吐を起こし、数日後に肝不全や腎不全に陥って死に至る極めて高い致死率を持ちます。なめこと同じく倒木や朽ち木に発生しますが、最大の違いは「ぬめりの有無」と「柄(軸)の構造」です。天然なめこは傘だけでなく柄に至るまで全体が強いゼラチン質のぬめりに覆われていますが、コレラタケには強いぬめりがなく、柄にツバ(膜状のリング)やつばの名残である繊維状の模様がはっきりと見られます。
もう一つの誤認しやすい毒キノコであるニガクリタケは、ファシクロールという毒成分を含み、摂取すると麻痺や痙攣、急性脳症を引き起こす危険性があります。ニガクリタケは鮮やかな硫黄色(レモンイエロー)から赤褐色をしており、ひだが黄色から緑がかったオリーブ暗色へ変化する点が特徴です。ぬめりはほとんどなく、噛むと強い苦味(※判別のために口に含むことも厳禁)があります。
野外での鑑定においては、「少しでもぬめりが薄い」「柄の繊維感やツバが不自然」「黄色みが異様に強い」と感じた場合、絶対に採取・喫食してはなりません。「毎年採っている場所だから安心」という思い込みが、混生した毒キノコの一括誤採取を招く最大の要因です。