予約者が直面する最大の悩みどころが、「翡翠会席(ひすい)」にするか、それとも1ランク下の「葵会席(あおい)」にするかというプラン選定です。両者の差額は数千円ですが、提供される食材の格、調理法、そして相手に与える視覚的な満足度には決定的な境界線が存在します。
北大路の翡翠コースのお品書きは、四季の移ろいを表現した前菜の盛り合わせから始まります。お造りには本鮪をはじめとする上質な旬魚が並び、メインの台の物には「黒毛和牛のすき焼き」または「黒毛和牛の陶板焼き」が登場します。このメインディッシュの圧倒的な存在感こそが、葵会席との決定的な差別化ポイントです。葵会席も季節感あふれる良質な構成ですが、メインの肉料理が国産牛や豚肉の鍋仕立てになるケースが多く、格式の高い接待や両家の威信がかかった北大路の翡翠顔合わせにおいては、翡翠会席が推奨される理由がここにあります。
北大路の翡翠と葵会席の違いを分析すると、コストパフォーマンスと体面維持の分岐点が翡翠会席に設定されていることが明確に読み取れます。飲み放題を付けた場合でも1名あたり15,000円〜18,000円前後に収まることが多く、銀座や大手町の高級料亭が25,000円〜40,000円を超える相場感と比較すれば、極めて戦略的かつ現実的な価格設定と言えます。