破産者マップ事件の経緯は、2019年3月に突如として公開されたウェブサイトに端を発します。国が発行する公報である官報情報から破産者の氏名、住所、破産手続きの開始決定日などを自動抽出し、Googleマップ上に視覚的にプロットしたシステムは、瞬く間にSNS上で拡散されました。
サイト上には近隣住民や知人の経済的困窮が一目で把握できる仕組みが構築されており、当事者に対する嫌がらせや勤務先への通報、就職差別など、現実世界での実被害が続出しました。「知る権利」や「官報は公知の情報」という運営者側の主張に対し、法曹界や人権団体からは猛烈な批判が噴出することになります。
事態を重く見た国の機関である個人情報保護委員会は是正勧告に向けた行政指導の手続きを開始。事態の深刻さと社会的責任の追及に耐えかねた運営者は、公開からわずか1週間足らずでサイト閉鎖と謝罪文の掲載に追い込まれました。しかし、一度ネット上にばら撒かれた個人情報は容易に消え去ることはなく、長期にわたる法的闘争の幕開けとなりました。