ネット検索で常に高い関心を集めるのが、女性バイオリニストたちの経済的実態です。きらびやかなドレスを身にまとい、数億円の楽器を奏でる姿から「全員が大富豪なのではないか」というイメージを持たれがちですが、その収益構造は活動形態によって二極化しています。
まず、国内外の主要オーケストラと客演する国際的ソリストの場合、1回のステージギャランティは数十万円からトップクラスで数百万〜500万円前後が相場です。年間数十公演の演奏会に加え、マスタークラスの指導料や録音印税を合算すると、世界的な純粋クラシック奏者の年収は2,000万〜5,000万円規模に達します。一方で、高嶋ちさ子のように年間100公演以上をプロデュースし、冠テレビ番組やCM出演、書籍出版まで多角的に展開するケースでは、年収は1億円を超える水準と推計されます。
しかし、こうした華々しい数字は氷山の一角に過ぎません。多くのプロ奏者にとって、自活へのハードルは決して低くないのが実情です。
特に重要なのが「名器ストラディバリウスの貸与制度」です。時価10億円を超えるようなオールド銘器を自前で購入できる音楽家は世界でもごく稀であり、多くの場合は日本音楽財団や宗次コレクション、企業の文化支援基金から無償貸与(ローン)を受けています。これらは奏者の芸術的実力を担保する名誉である一方、高額な年間保険料や維持費、世界中へ移動する際の厳重なセキュリティ管理など、奏者側にも相応の経済的・精神的負担が伴います。「億単位の楽器を持っているから金持ち」という見方は、業界の実像とは大きくかけ離れた誤解と言えます。