昭和の名建築「前川國男邸」の魔力とは?戦時下に挑んだ空間の真相

昭和の名建築「前川國男邸」の魔力とは?戦時下に挑んだ空間の真相

昭和の名建築「前川國男邸」の魔力とは?戦時下に挑んだ空間の真相の背景について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

ネット上の情報では「戦前の木造住宅がそのままの場所で綺麗に残されていた」と誤解されるケースが散見されます。しかし、前川國男邸が今日までその姿をとどめている背景には、関係者の執念とも呼ぶべき壮絶な保存ストーリーが存在します。

もともとこの住宅は、品川区上大崎の地に建てられていました。1973年(昭和48年)、前川建築設計事務所の新たなオフィス兼自邸の新築に伴い、旧自邸はやむなく解体されることになります。通常であれば廃棄される運命にありましたが、前川の弟子たちや事務所スタッフは「この名建築を後世に残さなければならない」と立ち上がり、部材を一本一本丁寧にナンバリングして解体。八王子市内の倉庫で実に約20年もの間、部材が大切に保管され続けました。

そして1993年(平成5年)、江戸東京たてもの園の開園に合わせて移築・復元が実現しました。この移築復元のプロセスにおいても、当時の設計図面と部材の傷み具合を綿密に照合し、可能な限りオリジナル部材を生かしながら忠実な再現が行われました。私たちが現在目にしている美しい佇まいは、前川國男の設計力だけでなく、建物を愛した弟子たちや修復職人の熱意が結実した結晶なのです。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。