ネット上で「花巻東 いじめ」「花巻東 暴力」と検索するユーザーの多くが、過去の別の論争と記憶を混同しているケースが極めて多く見られます。その最大の要因が、2013年夏・第95回全国高校野球選手権記念大会の準々決勝(鳴門高校戦)で起きた「サイン盗み疑惑騒動」です。
当時、花巻東の2塁走者が不審な動作をしたとして審判団から注意を受け、さらに巧みなカット打法で球数を投げさせていた千葉翔太選手に対し、高野連から「高校野球の精神に反する意図的なファウル打ち」として実質的な規制がかけられました。この一連の出来事は大手新聞やワイドショー、ネット掲示板で過熱報道され、一部の過激なユーザーから「ズルをする汚いチーム」「指導者に問題がある」といった誹謗中傷が集中したのです。
この2013年の競技倫理を巡るバッシングと、2011年の寮内暴力事案が、ネットのまとめサイト等で「花巻東高校野球部の悪質不祥事」として一括りに語られる現象が発生しました。客観的に見れば、競技上のプレー判断を巡る議論と、部員間のいじめ・暴力問題は次元が全く異なるものです。しかし、感情的な反発が一度ネット上に定着すると、真実とは異なる「いじめ体質の強豪校」という歪んだパブリックイメージが一人歩きしてしまう危険性を浮き彫りにしています。