「焼き芋を毎日食べていたら逆に体重が増えた」という体験談がSNSやコミュニティサイトで頻繁に見受けられます。この現象の背景には、近年の品種改良に伴う糖度の上昇と、糖質制限の観点における誤解が存在します。
かつての主流であった「鳴門金時」などのホクホク系さつまいもは、焼き上がり時の糖度が30度前後でした。しかし、現在市場を席巻している「紅はるか」や「安納芋」は糖度50〜60度、なめらかな口当たりの「シルクスイート」も糖度40〜50度近くまで跳ね上がります。じっくり加熱される過程で、さつまいもに含まれるβ-アミラーゼという酵素がでんぷんを「麦芽糖(マルトース)」へと分解するため、スイーツに匹敵する極上の甘さに変化するのです。
生芋の状態と比べて糖質の吸収速度を示すGI値(グリセミック・インデックス)も劇的に変化します。茹でたり蒸したりしたさつまいものGI値が約45〜55(低〜中GI)にとどまるのに対し、長時間じっくり焼いたアツアツの蜜芋はGI値80〜85以上の高GI食品へと変貌を遂げます。高GI食品を一気に摂取するとインスリンが過剰分泌され、使い切れなかった糖分が体脂肪として蓄積されやすくなります。