事件の原因となったのは、泡立ちやしっとり感を高める目的で配合されていた加水分解コムギ末「グルパール19S」という成分でした。当時、アレルギーは主に「口から摂取することで生じる」と考えられていましたが、この事件によって経皮感作 メカニズムの危険性が医学界でも大きく注目されることになります。
グルパール19Sは分子量が比較的大きく、石鹸の泡立てやスクラブ効果によって微小な傷が生じた皮膚バリアから浸透。体内の免疫細胞がこれを「異物」と認識して特異的IgE抗体を大量に産生してしまいました。その結果、石鹸の使用を重ねるうちに皮膚から小麦に対するアレルギー感作が成立し、日常の食事で小麦を摂取した際に、体内の免疫系が過剰反応を起こすようになったのです。
被害者の多くは、運動後や入浴後に小麦を摂取した際、全身のじんましん、まぶたや唇の腫れ、呼吸困難、血圧低下による意識消失といったアナフィラキシーショック 症状に見舞われ、救急搬送される事態が全国で多発しました。