ネット上の情報や一般的な会話において、しばしば「カヌーとカヤックは全く別の乗り物」と語られますが、国際的な海洋人類学および競技団体の定義(国際カヌー連盟:ICF)に照らし合わせると、これは半分正しく、半分は誤解です。
体系的な分類において、「カヌー(Canoe)」は水を掻くパドルで進む小舟全体の「総称(上位概念)」です。その大きなカヌーという傘の中に、北米先住民が移動や狩猟に使っていたオープン型の「カナディアンカヌー」と、極北のイヌイット族がアザラシ猟などのために獣皮を張って開発したクローズド型の「カヤック」という2つの系統が存在します。
つまり、生物学に例えるならば「イヌ科(カヌー)」の中に「オオカミ(カナディアン)」と「キツネ(カヤック)」がいる関係性に近いと言えます。日常のアウトドアシーンでは「オープンデッキ+シングルブレード」の舟を便宜上カヌーと呼び、「クローズドデッキ+ダブルブレード」の舟をカヤックと呼んで呼び分けていますが、本来カヤックもカヌーファミリーの一員であるという背景を知っておくと、用語の混乱を防ぐことができます。
また、近年普及している空気で膨らませる超軽量ボート「パックラフト」のように、両者の境界線を融合させた新しいギアも登場しており、用途に応じた構造の細分化が進んでいます。