『うたプリ』を語る上で欠かせないのが、キャスト陣が劇中アイドルそのものとなって歌い踊るライブイベント「マジLOVELIVE」(通称:プリライ)です。その大舞台において、下野紘は数々の伝説的シーンをファンの記憶に刻み込んできました。
ファンの間で今なお語り草となっているのが、ライブ終盤で見せる下野紘の感極まった涙です。その背景には、知られざる肉体的・精神的な葛藤がありました。
特に『マジLOVELIVE 4th STAGE』で披露された『翔んでPure Heart』では、下野紘はアリーナの天井近くまで吊り上げられる大掛かりな空中フライング演出に挑戦しました。しかし、本人は業界内でも知られる極度の高所恐怖症です。リハーサル段階では足がすくみ、命綱があるとはいえ数メートルの高さすら恐怖に怯えていたことが、後のインタビューや手記でも赤裸々に明かされています。
本番当日、恐怖心を完全に押し殺し、満面の笑顔で客席上空を飛び回りながら全力で歌いきった下野紘。フライングを終えて地上に降り立ち、会場を埋め尽くすピンク色のペンライトと割れんばかりの歓声を浴びた瞬間、張り詰めていた緊張の糸が解け、大粒の涙が頬を伝いました。「翔がアイドルとしてファンに笑顔を届けるためなら、自分も限界を超えられる」という、役者魂とキャラクターへの敬意が生んだ奇跡の瞬間でした。
また、プリライにおける下野紘の代名詞といえば客席を巻き込む熱烈な「タオル回し」です。『男気全開Go! Fight!!』に代表されるアッパーチューンでは、数万人規模の観客が一斉にグッズのタオルを頭上で旋回させ、会場全体の空気が物理的に揺れるほどのエネルギーを生み出します。自らステージの端から端まで全速力で駆け抜け、汗だくになりながらコールを煽るその姿は、まさにファンが愛する「来栖翔そのもの」でした。