大学病院の受診をめぐっては、インターネット上や口コミでいくつかの誤解が散見されます。無用な混乱を防ぐために、現場の実態に基づいた事実を整理します。
第一の誤解は、「大学病院に行けばどんな軽い病気でも最高の治療を受けられる」という思い込みです。大学病院は一般的な風邪や軽微な打撲の初期治療を目的とした施設ではありません。軽症で受診した場合、前述の選定療養費が余分にかかるだけでなく、優先度の高い重症患者の合間に診察が行われるため、極めて長時間の待機を強いられます。地域のクリニックで初期診断を受け、必要に応じて紹介されるのが制度設計上の正しいルートです。
第二の誤解は、「特定の宮崎大学医学部附属病院の名医を初診時に自由に指名できる」という点です。同院の診療科一覧には、循環器内科、消化器外科、脳神経外科、小児科、産婦人科、整形外科、眼科、皮膚科、歯科口腔外科などあらゆる高度専門領域が揃っており、著名な教授や指導医が多数在籍しています。しかし、初診外来は各科の初診担当医がまずスクリーニングを行い、病状の難易度や専門性に応じて専門外来や各チームに振り分けられるのが一般的です。最初から特定医師の診察を希望する場合は、紹介元の医師にその旨を相談し、紹介状に指名・相談内容を明記してもらう必要があります。
第三の誤解は、「一度大学病院にかかれば、ずっとそこで診てもらえる」という点です。急性期治療や手術が完了し病状が安定した患者は、地域医療構想に基づき、地域のクリニックや療養型病院へ「逆紹介(かかりつけ医への引き継ぎ)」が行われます。これは大学病院が常に緊急性・重症度の高い新たな患者を受け入れられるベッドと診療体制を確保するための必須プロセスです。
【プロの結論】受診をおすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
地域医療連携の機能分化という視点から、どのような状況であれば宮崎大学医学部附属病院を選択すべきか、判断基準を明示します。
【同院の受診をおすすめできる人】
- かかりつけ医から「精密検査や専門的手術が必要」と判断され、正式な紹介状を発行された人
- 希少疾患、難治性疾患、原因不明の慢性症状で高度な専門医のチーム診断を必要としている人
- 悪性腫瘍(がん)に対するロボット支援手術、最新の集学的治療(放射線・化学療法)を希望する人
- 高度な新生児医療、周産期医療、重度外傷などの高度急性期救急を要する状態にある人
【地域の診療所・一般病院をまず優先すべき人】
- 急な発熱、軽い腹痛、一般的な湿疹など、日常的な疾患の初期診断を受けたい人(選定療養費の無駄と長時間の待機が発生します)
- 薬の継続処方のみを希望し、病状が完全にコントロールされている慢性疾患の人
- 紹介状を用意せず、「大病院だから安心」という漠然とした理由のみで即日受診を考えている人