「ひたひた」を数値で捉えるなら、食材の全体体積に対して約80〜90%の高さまで液体を満たした状態を指す。完全に水没させるのではなく、具材の頂点が空気中にわずかに顔を覗かせている絶妙なラインだ。重量比で見ると、根菜類などの固い食材に対して水分の量は重量の約70〜80%がひとつの黄金比となる。
なぜこの比率が重要なのか。水分が多すぎれば煮詰めるのに時間がかかり、過度な加熱によって食材の細胞壁が破壊され煮崩れを引き起こす。逆に少なすぎれば調味料が均一に行き渡らず、焦げ付きの原因になる。適量の水分と食材の密度が噛み合って初めて、理想的な味の浸透圧と熱伝導が成立するのだ。