騒動の発端は、Instagramの非公開アカウントと目されるプライベートな画像群の流出だった。画面キャプチャの形でX (旧Twitter)や匿名掲示板に拡散された投稿群は、それまで世間が抱いていた「CGアイドル」「優等生」という記号化されたキャラクターとは著しく乖離していた。羽生結弦選手への熱烈なオタク的一面、過密日程に対する赤裸々な愚痴、同僚メンバーへの悪戯っぽい毒舌、そして変顔写真の数々。世間が目撃したのは、作られたアイドルではなく、感情を爆発させる一人の生身の若者だった。
ファンの反応は二極化した。「裏切られた」と嘆く声があった一方で、「むしろ人間味が感じられて救われた」「あそこまで完璧を演じていたのだから、これくらいの捌け口がなくては壊れてしまう」と擁護する声も根強く存在した。しかし、本人が最も恐れていたのは、自ら築き上げた「完璧な渡辺麻友」という偶像が毀損されることそのものだったに違いない。流出元となった親しい知人への不信感と、プライベート空間すら暴かれた精神的ショックは、彼女の繊細な精神を深く蝕んでいった。