ネット上の掲示板やSNSでは、彼女の引退について「夫の長渕剛に無理やり引退させられたのではないか」「家庭内での束縛が理由ではないか」といった憶測が散見されます。しかし、当時の一次資料や関係者の証言を丹念に検証すると、実態は全く異なります。
引退会見において志穂美自身が語った言葉は、極めて明確でした。
「私は何事も中途半端にできない性格です。仕事と家庭の二足のわらじを履いて、どちらもおろそかになることだけは絶対に避けたかった。これからは夫という表現者を命がけで支えることに全力を尽くします」
アクションの世界で「一つ間違えれば命を落とす」という極限の緊張感の中で生きてきた志穂美にとって、中途半端な姿勢で物事に臨むことは自身の美学に反するものでした。千葉真一の薫陶を受け、何事にも全身全霊で打ち込むJAC精神が根底にあったからこそ、「家庭に入り、家族を守り抜く」という道にも一切の迷いなく飛び込んだのです。誰かに強制されたのではなく、自分自身の美学に基づいた自律的な決断であったことが、彼女のその後のブレない生き様からも証明されています。