日常の保存において、極めて多くの人が陥っている重大な盲点があります。それが「茶葉は冷蔵庫や冷凍庫に入れておけば劣化しない」という誤信です。ネット上でも長期保存の裏技として紹介されがちですが、これにはプロが最も警戒する大きな落とし穴が存在します。
茶葉の最大の敵は「湿度」「酸素」「光」「高温」「移り香」の5要素です。冷蔵庫内は確かに低温かつ暗所ですが、ドアの開閉によって庫内には湿気が漂い、さらに食品の様々な匂いが充満しています。前述した通り茶葉は強力な脱臭能力を持つため、不完全な密封状態で冷蔵庫に入れると、冷蔵庫内の魚やキムチの匂いを吸い尽くしてしまいます。
さらに深刻なのが「結露」の現象です。冷え切った茶筒を冷蔵庫から取り出し、室温25℃前後のリビングでフタを開けた瞬間、冷えた金属缶や茶葉の表面に空気中の水分が一気に凝結します。一度結露して水分を含んだ茶葉は、自ら抱え込んだ湿気によってカテキンの酸化速度が数十倍に跳ね上がり、数日で完全に風味が死滅してしまいます。
茶葉の正しい保存方法の鉄則は次の通りです。未開封品を半年以上ストックする場合に限り、未開封パックをさらにジッパー付き密閉袋に入れた上で「冷凍庫」に保管するのは有効です。ただし、使用する際は必ず前日から冷蔵庫に移し、さらに開封前に室温に半日放置して完全に常温へ戻すプロセスが絶対条件となります。そして、日常的に飲む開封後の茶葉については、冷蔵庫ではなく「直射日光が当たらず、火元の熱気や湿気から遠い戸棚の中」に茶筒で常温保管するのが最も安全で風味を保つ扱い方です。