そもそも、この道路が「ミルク」の名を冠する理由は、沿線に点在する牧場から牛乳を運ぶための生活道路だったからだ。観光地化が進む一方で、主役であるはずの酪農家たちは厳しい状況に置かれている。飼料価格の高騰に加え、観光車両の増加による家畜へのストレスが問題視されているのだ。
「観光客が増えても、私たちの牛乳が売れるわけではない」と、ある若手酪農家は冷ややかに話す。草原の維持にかかる莫大なコストを、観光税などの形で還元する仕組みづくりが急務となっている。ただ景色を消費するだけの観光から、地域の生業を支える循環型の観光へのシフトが求められている。